当時はメロディーのない曲は音楽ではないとまで思っていたが、それが徐々にプログレやら民族音楽やらJAZZやらに触れて変わっていく。
徐々に育まえていくその志向性は、いうなればマイノリティー嗜好。メジャーなものよりマイナーなものに中に価値を見つけ出しては一人ほくそ笑むというのが、密かな楽しみであった。
当然のことながら、そんな趣味嗜好に同調する友人など居ない。
変なものが好きな変人としてあつかわれる。
その割には、まったく普通であった(と、思う)生活からの逃避を夢想していた。自分の弱さみたいなものをどうやってひっくり返すか?考えていた。
集団における存在の肯定は、個にとっては一大事である。
特に若いときにはそういった自己肯定が必要なのであるが、競争することが嫌いであれば独自性に逃げ込むしかない。
アンビバレンツな存在、ボーダーラインにある存在、それらを肯定できるのであれば、競争など必要なくなる。
そんな思考を元に私の嗜好は変容していく。
大残酷と名付けられたカルトな映画なのに、美しいメロディー。その対比には今でも魅力を感じる。